LIVENOTE NEWS · ORIGINAL RESEARCH 02

配信アプリ5社の
透明性監査 2026
― 二層の空白

Pococha・17LIVE・IRIAM・ミクチャ・TikTok LIVE。
口コミではなく、各社の公式サイト・公式ヘルプ・規約に書かれていることだけを12項目で確認しました。
5
LIVE APPS
12
CHECK POINTS
0
FULL DISCLOSURE
MOST IMPORTANT FINDING
1/5

「何に対する何%か」まで
公式に説明しているアプリ

2/5

事務所に支払う報酬を
公式に公開しているアプリ

RESEARCHED 2026.08LIVENOTE

EXECUTIVE SUMMARY

率は書けても、分母は書かれていない。

事務所の条件が空白だった理由を、その上流にあたる配信アプリに求めました。見つかったのは、アプリの側にも同じ形の空白があるという事実です。調査:LIVENOTE編集部/確認日:2026年8月30日2026年8月31日/公開:2026年9月5日

還元率の数字を公式に公開している配信アプリは、5社中2。その数字が「何に対する何%か」まで説明しているアプリは1でした。

ライバー事務所がアプリから受け取る報酬について公式に触れているアプリは2。事務所所属の配信者が、自分の取り分の根拠を公式情報だけでたどれるアプリはありませんでした。

一方で、Pococha12項目中11項目を公開していました。「書けない」のではなく「書くかどうか」の差であることも、同時に確認されています。

FIGURE 01

配信者が知りたい、3つの数字。

RATE
2
還元率・分配率の数字を
公式に公開しているアプリ
5社中
DENOMINATOR
1
「何に対する何%か」まで
説明しているアプリ
5社中
AGENCY REWARD
2
事務所に支払う報酬を
公式に公開しているアプリ
5社中

n=5/各社の公式サイト・公式ヘルプ・規約の記載を確認(2026年8月30日2026年8月31日

リヴ
「還元率○%」って言葉はよく聞くのに、何に対する○%かを公式に書いているアプリは1社だけ。ここが今回の出発点だよ。

何を調べたか

調べたのは、国内で配信者の募集が活発な主要ライブ配信アプリ5社です。各社の公式サイト、公式ヘルプセンター、利用規約・配信規約、公式ブログやニュースルームだけを根拠に、 配信者が受け取る条件に関する12項目の記載を「あり」「曖昧」「なし」の3値で記録しました。 事務所のブログやまとめ記事などの二次情報は、根拠に使っていません。

SCOPE配信アプリ5

Pococha・17LIVE・IRIAM・ミクチャ・TikTok LIVE。運営会社は各社の公式表記に従いました。

CHECK POINTS12項目・4グループ

報酬の根幹(4項目)/支払いと条件(4項目)/事務所との関係(3項目)/改定の告知(1項目)

EVIDENCE公式一次情報のみ

公式サイト・公式ヘルプ・規約・公式ニュースの記載に限定。口コミ・二次情報は不使用。

DATE2026年8月30日2026年8月31日

調査時点のスナップショット。その後の更新は反映されていない場合があります。

主要な発見

1. 「率」と「分母」が、そろって書かれているアプリはない

還元率・分配率の数字を公式に公開しているアプリは2社(還元率・分配率の数字の「あり」)。 それが何に対する割合かを式で説明しているアプリは1社(算出式・分母の説明の「あり」)。 そして、この両方を書いているアプリは0でした。 率を出しているアプリは分母を出しておらず、分母を式で出しているアプリは率を出していない——公式情報だけでは、配信者が自分の取り分を計算できない構造になっています。

2. 事務所に支払う報酬に公式に触れているのは2

事務所制度そのものは5社すべてが公式に説明しています(事務所制度の公式説明)。 しかし、その事務所がアプリから何を受け取るのかに公式に触れているのは2社だけでした(事務所へのボーナスの明示)。 事務所に所属すると報酬条件が変わるのかを明示しているアプリも2社にとどまります。 事務所の取り分の根拠は、アプリ側にも書かれていない。事務所だけの問題ではなく、上流と下流の二層に同じ空白がある——これが今回の中心的な発見です。

3. でも、Pococha12項目中11項目を書いていた

12項目すべてを「あり」で満たしたアプリは0社ですが、Pococha11項目を公式に公開していました。 全19ランクの時間ダイヤの金額表、1ダイヤ=1円の換金レート、振込手数料を運営が負担すること、事務所所属でも個人でも時間ダイヤは同一であること。 さらに、事務所向けの特別報酬の金額まで公式に掲載しています。同じ業界で、同じ項目について、これだけの差がある。書けない項目なのではなく、書くかどうかの問題であることを、この1社が示しています。

4. 配信者の収入実績を公式に発表しているアプリは、確認できなかった

今回の12項目とは別に、調査の過程で各社の公式発表を確認しましたが、5社のいずれについても、配信者の平均収入や収入分布といった実績を公式に発表している記載は確認できませんでした。 検索で見つかる「月収○万円」のような数字は、いずれも二次情報です。公式に確認できる数字は、時間報酬の単価表や換金レートまで、ということになります。

ノートくん
じゃあ「還元率3〜5割」みたいな話って、どこから来てるの?
リヴ
公式には確認できなかった数字だよ。誰が言ったかまで確かめられない数字は、比較の材料にしない。それがこの調査のルール。
FIGURE 02

社別スコア

12項目の開示度を100点満点で表示。「あり」=1、「曖昧」=0.5として集計しています。平均は74点でした。

Pococha96
96/100
17LIVE79
79/100
IRIAM67
67/100
ミクチャ63
63/100
TikTok LIVE63
63/100
n=5/確認日 2026年8月30日2026年8月31日/各社の根拠はアプリを選ぶの各社ページに掲載
スコア=(あり×1+曖昧×0.5)÷12×100(小数点以下四捨五入)
アプリ運営あり曖昧なしスコア
Pococha2026年8月30日確認株式会社DeNA111096/100
17LIVE2026年8月30日確認17LIVE株式会社83179/100
IRIAM2026年8月30日確認株式会社IRIAM(DeNAグループ)72367/100
ミクチャ2026年8月30日確認株式会社Donuts71463/100
TikTok LIVE2026年8月31日確認TikTok Pte. Ltd.47163/100
FIGURE 03

12項目 × 5社の記載状況

各項目について、公式サイト・公式ヘルプ・規約に具体的な記載を確認できたか。判定の根拠は各社ページと調査データ(CSV)に掲載しています。

●=あり(具体的な記載を確認)/△=曖昧(言及はあるが数字・条件が不明)/—=なし(記載を確認できず)
項目Pococha17LIVEIRIAMミクチャTikTok LIVEあり
A · 報酬の根幹
1. 還元率・分配率の数字2/5
2. 算出式・分母の説明1/5
3. 換金レート4/5
4. 時間報酬の有無と実額4/5
B · 支払いと条件
5. 支払サイクル3/5
6. 最低支払額4/5
7. 手数料2/5
8. 収益化の開始条件4/5
C · 事務所との関係
9. 事務所制度の公式説明5/5
10. 所属で報酬条件が変わるかの明示2/5
11. 事務所へのボーナスの明示2/5
D · 改定の告知
12. 規約変更・報酬改定の告知4/5
あり曖昧なし

各社で確認できたこと

優劣ではなく、公式に「書いてある/書いていない」の記録です。判定の根拠となる公式URLは、各社ページと調査データに掲載しています。

  • Pococha96 / 11項目

    全19ランクの時間ダイヤ金額表、1ダイヤ=1円、振込手数料は運営負担、換金申請と振込日の対応表まで公開。事務所向けFAQでは「還元率という形では報酬をお支払いしていません」と、率で払っていないこと自体を明記。事務所向けの特別報酬として「1社あたり最大1,780万円」(2020年)を公式に掲載。一方、盛り上がりダイヤの計算式は「ご案内しておりません」と明示的に非開示。

  • 17LIVE79 / 8項目

    成果報酬料率35%を改定前後の対比表つきで公開し、グレード別の時給表(White1 ¥35〜Gold5 ¥7,000)も掲載。ただし35%の分母となるベイビーコイン→円の換算率は非公開で、同じサイト内に「ロイヤリティーの比率は、非公開」という記載も残っています。エージェンシーが受け取る報酬に関する公式記載は確認できませんでした。

  • IRIAM67 / 7項目

    時間ダイヤの表(S3=2,300/時〜)、1ダイヤ=1円、収益化条件(15時間以上・10日以上・累計5,000pt以上)は数値で公開。主軸の応援ダイヤは「当社が独自に定める評価基準」のみ。配信規約第6条第2項で、事務所所属時はダイヤの付与と支払いが事務所に対して行われることを明記する一方、その事務所側を定める「オーガナイザー規約」は公開されていません。

  • ミクチャ63 / 7項目

    1ジェム=1円、全ランクの視聴ジェム単価表(S1=1分50.0ジェム・1日最大6,000ジェム)、24時をまたぐ場合の按分計算例まで公開。算出式・分母の説明」で唯一の「あり」です。一方、リスナーが支払ったコインのうち何%が配信者に渡るかは非公開です。パートナー登録約2,000社に対する表彰制度を公式に設けている一方で、事務所との金銭関係に関する公式記載は確認できませんでした。

  • TikTok LIVE63 / 4項目

    配信者向けには還元率・換金レート・支払日・出金下限のいずれも数字が公開されておらず、ポリシーはダイヤモンドを「人気度とランキングを認識するため」の指標と定義し、「報酬を受け取る権利をユーザーに自動的に付与するものではありません」と記載。一方、エージェンシー向けの公式サイトでは、新規提携エージェンシーに「通常より3%高い報酬」+期間限定で追加3%と数字を公開しています。配信者に出さない数字を事務所には出す、という非対称が公式情報から確認できます。

なぜ、書かれていないのか

ノートくん
分母を書いてるのが1社って…みんな隠してるの?
リヴ
そう決めつけないで。書きにくい事情がある項目と、書けるのに書いていない項目を分けて考えよう。

ここからは調査結果ではなく、私たちの見方です。事実と区別して読んでください。

A. 「率」という物差しが、設計と合っていない場合がある

Pocochaは「還元率という形では支払っていない」と公式に述べています。時間報酬やランク係数で報酬が決まる設計では、「ギフトの何%」という一つの率で表せない。 率を書かないのは隠しているからではなく、率で払っていないから——そういうアプリがあることは、公式情報から読み取れます。

B. 分母が動く

1日のダイヤ総数、ベイビーコインの換算率、米ドル建ての為替。分母が日々変わる設計では、「何に対する何%」を固定して書くと、かえって守れない約束になりかねません。 分母を式で書いたアプリの説明が、視聴時間×単価という動かない部分についてだったことは、この事情と整合します。

C. 事務所との条件は、個別契約に委ねられている

事務所所属時の支払先を規約で事務所に付け替えているアプリでは、本人にいくら渡るかは事務所との契約次第で、アプリは関与しない旨も明記されています。 この構造では、アプリ側が「所属すると取り分はこうなる」と書くこと自体が難しい。ただしその結果として、配信者は自分の取り分の根拠を、アプリにも事務所にも公式には確認できない状態に置かれます。

D. それでも、書けることは証明されている

Pocochaは、時間報酬の金額表、換金レート、手数料の負担者、所属で条件が変わらないこと、事務所向けの報酬の金額まで公式に書いていました。12項目中11項目。「まともなアプリがない」のではなく、12項目すべてを満たすアプリがまだ現れていない——それが今回の結果です。

読者へ:アプリを選ぶ前に確認する3つ

  1. 「何に対する何%か」を公式ヘルプで探す。率だけの数字は、分母がないと比べられません。見つからなければ、その数字は「公式には確認できない」ものとして扱ってください。
  2. 支払日と手数料を公式ヘルプで確認する。3社が締め日・支払日を、2社が手数料の負担者を公式に書いています。書いていないアプリでは、出金画面で表示される条件を控えておきましょう。
  3. 事務所に入るなら「誰から払われるか」を聞く。アプリから本人に払われるのか、事務所を経由するのか。経由する場合、事務所の取り分の根拠はアプリ側には書かれていません。面談で使える質問文は事務所ノートに置いています。
リヴ
各アプリの12項目の根拠はアプリを選ぶのページで1社ずつ読めるよ。「書いてない」なら、聞けばいいだけ📒
RESEARCH METHOD

調査の方法

評価ではなく、公式に確認できる記載の量を測りました。

  1. 01
    SCOPE配信アプリ5社・12項目

    Pococha/17LIVE/IRIAM/ミクチャ/TikTok LIVE。項目は「報酬の根幹」「支払いと条件」「事務所との関係」「改定の告知」の4グループ。

  2. 02
    PERIOD2026年8月30日2026年8月31日

    各社の公式サイト・公式ヘルプセンター・利用規約・配信規約・公式ニュースを確認。

  3. 03
    EVIDENCE公式一次情報だけを採用

    事務所のブログ・まとめ記事・口コミは根拠に使っていません。二次情報しかない項目は「なし」と判定しています。

  4. 04
    LIMIT調査時点のスナップショット

    アプリ内やログイン後にのみ表示される条件、画像内だけの記載は捉えられない場合があります。各社の記載更新があれば確認のうえ反映します。

USE & CITE THIS RESEARCH

この数字を、
比べられる業界の材料に。

本調査の数字は、出典名「LIVENOTE編集部」と本ページURLを明記いただければ、記事・資料・報道で自由に引用できます。上の「引用文をコピー」で表記をそのまま取得できます。

各社の判定と根拠URLは調査データ(CSV)で公開しています。「なし」は調査時点で公式に確認できなかったことを示し、各社の優劣を示すものではありません。

掲載アプリの運営会社の方へ:公式サイトに記載を追加された場合や、記録に誤りがある場合は、記事の訂正窓口から根拠となる公開URLとあわせてお知らせください。確認のうえ反映します。

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